どうしようもなくYesが欲しいだけの少数派を一人攻撃する
どうしようもなくYesが欲しいだけの一般人なんか見たくない。
-「三段の休暇」14章より引用
学校に通う見知ったやふな、もしくは知っているやふで全くの別人である電子存在が、kgやμsと云ふものについて書き連ねるのを斜に見ながら、その無意味さに呆れる私の末端は氷未満には冷え切っていた。
左様なことを述したとて何も変わらぬだらうと何故か苛立つ。
とつ、と思ひ付くような普遍的人間像は、ワタシモワタシモといって擦り寄る幻想を抱ひているかのように思えた。
皆が自分のやうに無欲になれば生のセロリを齧りながら死にゆき、平和になるはずだが、エゴイズムの表層をなぞるかのような思想に吐き気がするし、自分でさえ緩やかな死に逆らうのを見ると尚。
どうしようもなくいたたまれぬ心持ちになつて大声を出してみようと思ふ。
しかし声などとうに出ず、微かに蠢く指先で電子計算機の網に奇っ怪な零と一を繰り返し殴りつけるしかないのだ、私は。